「英語を読むスピードが遅すぎて、TOEICのリーディングがいつも最後まで解き終わらない…。」
「リスニングで英語が流れてきても、意味を理解する前に次の文が始まってしまう…。」
もし今、あなたがこんな悩みを抱えているのだとしたら、今日の記事はきっと役に立つと思います。
こんにちは、Otodokeです。
今日は、僕が英語学習においてずっと大切にしてきた「音読」というトレーニングについて、その効果と具体的な方法を、できる限り丁寧にお伝えしたいと思います。
以前の記事でも書きましたが、僕は高校時代、英語の成績が学年で最低クラスの落ちこぼれでした。それが大学受験を経て英語力を劇的に向上させ、センター試験の英語は筆記・リスニングともに満点、TOEICも1回の受験で970点を取得するに至りました。
この英語力の土台を作ってくれたものは何かと聞かれたら、僕は迷わず「音読」と答えます。
以前の記事で、僕は『速読英単語』シリーズを使ったシャドーイングを毎日繰り返していたことを紹介しました。朝起きてから、夜寝る前に、電車の移動中に。CDの音声に合わせて、ひたすら英文を声に出して読み上げる。それを365日、入試の当日まで繰り返しました。社会人になった今でも、毎日シャドーイングは続けています。
この「声に出して英文を読む」というトレーニングが、なぜこれほどまでに効果的なのか。そして、ただ漫然と声に出すだけではなく、どのように意識を向けて取り組むべきなのか。
今日はそこを深掘りしていきます。
音読には実は2つの種類があり、それぞれ意識を向けるポイントと得られる効果が異なります。この違いを理解して正しい方法で実践すれば、リーディング力とリスニング力の両方を、効率的に鍛え上げることができます。
この記事を読み終えた頃には、「今日から音読を始めてみよう」と思ってもらえるはずです。少し長くなりますが、最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。
そもそも「音読」とは何か

まず、音読の定義を明確にしておきます。
音読とは、英文のスクリプト(テキスト)を、そのまま声に出して読むトレーニングのことです。
「そんなの、中学校の英語の授業でやったことあるよ」と思われるかもしれません。確かに、多くの人が学校の授業で音読を経験しています。ですが、ここで僕がお伝えしたい音読は、学校の授業でなんとなくやっていたものとは、意識の向け方も、取り組み方の本気度も、まるで違うものです。
音読の本質は、「文字を目で認識する」→「脳内で音声に変換する」→「意味を理解する」という、英文を読むときに脳内で起きている一連のプロセスを、声に出すことによって強制的に高速化し、鍛え上げることにあります。
英文を黙読しているとき、僕たちの脳内では実は同じプロセスが起きています。目で英文を見て、頭の中で音に変換し、その音から意味を取る。音読は、この「音声化」のプロセスを実際に口から出すことで、より意識的に、より高速に行う訓練なのです。
この「音声化」が速くなると何が起こるか。
英文を読むスピードが上がります。圧倒的に。
以前の記事で僕は、センター試験の英語筆記を35分で解き終わったと書きました。残りの45分はひたすら見直し。制限時間80分の試験を半分以下の時間で終わらせることができたのは、英文を読むスピードが尋常ではないレベルまで鍛え上げられていたからです。
そしてそのスピードの根幹にあったのが、毎日の音読とシャドーイングの積み重ねでした。
音読がTOEICのスコアを高める理由

ここで、音読がなぜTOEICのスコア向上に直結するのかを、もう少し具体的に掘り下げてみます。
TOEICという試験の最大の特徴は、制限時間に対する問題数の多さです。リスニングは約45分間で100問、リーディングは75分間で100問。特にリーディングセクションは、多くの受験者が「時間が足りない」と感じる構成になっています。
つまり、TOEICで高得点を取るためには、英文を速く、かつ正確に処理する能力が不可欠なのです。
ここで重要になってくるのが、「チャンク認識力」という概念です。
チャンクとは、英語の「かたまり」のこと。英文を読むとき、一語一語バラバラに処理するのではなく、意味のかたまりごとに区切って前から順に処理していく。この「かたまりごとに捉える力」がチャンク認識力です。
例えば、”Because the client requested additional revisions, we decided to extend the project deadline by two weeks.” という英文があったとします。
この文を読むときに、”Because” / “the client requested” / “additional revisions” / “we decided to extend” / “the project deadline” / “by two weeks” というように、意味のかたまりごとに前から順番に処理していく。日本語に訳し戻すことなく、英語の語順のまま、かたまりごとに意味を取っていく。
この処理ができるようになると、英文を読むスピードは劇的に上がります。
そして、音読はこのチャンク認識力を鍛えるのに最も効果的なトレーニングなのです。
声に出して英文を読むとき、僕たちは自然と英文を前から順に処理せざるを得ません。黙読だと無意識に後ろから前に戻って読み返してしまうことがありますが、声に出して読む場合、基本的に前に進むしかない。この「前から順に処理する」という動作を繰り返すことによって、チャンクごとに英文を処理する力が鍛えられていくのです。
さらに、チャンク認識力が向上すると、リーディングだけでなくリスニングにも大きな恩恵があります。
リスニングでは、英語は前から順番に流れてきます。戻って聞き直すことはできません。つまり、リスニングで英語を理解するためには、流れてくる英語を前からかたまりごとにリアルタイムで処理していく能力が必須なのです。
音読によってチャンク認識力が鍛えられると、この「前からリアルタイムで処理する力」が向上し、リスニング時の理解スピードも上がります。
これが、音読がリーディング力とリスニング力の両方を同時に高めてくれる理由です。
楽器やスポーツに例えるなら、音読は「基礎練習」に当たるものだと僕は思っています。テニスで言えば素振り、ピアノで言えばスケール練習。地味だけれど、これを愚直に繰り返すことで、全てのプレーの土台となる基礎力が鍛え上げられていく。
以前の記事でも何度もお伝えしましたが、スキルの習得に必要なのは、ひたすら練習すること。音読も同じです。正しい方法で、毎日、ひたすら繰り返す。それができれば、あなたの英語力は確実に向上します。
音読には2つの種類がある

ここからが、今日の記事の核心部分です。
実は、音読には大きく分けて2つの種類があります。
一つ目が「プロソディー音読」。これは、英語の発音やリエゾン(音の連結)、リズム、イントネーションといった「音声面」にフォーカスして行う音読です。
二つ目が「コンテンツ音読」。こちらは、英文の意味内容やイメージの理解にフォーカスして行う音読です。
この2つは、意識を向ける対象が異なり、それぞれ得られる効果も変わってきます。
ここが非常に重要なポイントなのですが、多くの人は音読をするとき、どちらか一方だけに偏ってしまいがちです。発音ばかりを気にして意味を考えていなかったり、逆に意味を追うことに集中するあまり発音がおろそかになったり。
プロソディー音読とコンテンツ音読の両方に、バランスよく取り組むこと。これが、音読の効果を最大限に引き出すための鍵です。
それでは、それぞれの音読について、効果と具体的な方法を詳しく解説していきます。
プロソディー音読 ── 英語の「音」を体に染み込ませる

プロソディー音読は、英語の音声面に意識を集中させて行う音読です。
具体的には、単語一つひとつの発音、単語と単語がつながるときに起こるリエゾン(音の連結)、英語特有のリズム、そしてイントネーション(抑揚)に注意を向けながら声に出して読みます。
このトレーニングの目的は、英語の「音」を自分の体に染み込ませること。正しい発音、リズム、イントネーションを自分の口から再現できるようになることです。
「発音が良くなることとTOEICのスコアに何の関係があるの?」と思われるかもしれません。実は、大いに関係があります。
リスニング力と発音力は、表裏一体の関係にあるのです。
自分が正しく発音できる英語の音は、自然と聞き取ることができます。逆に、自分が正しく発音できない音は、聞き取ることが極めて難しい。これは僕自身の経験からも、強く実感していることです。
例えば、”I’m going to talk to him about it.” という文が自然なスピードで発話されると、”I’m gonna talk to him about it.” となり、さらに “to him” の部分も弱く短く発音されて “I’m gonna talk to ‘im about it.” のように聞こえます。こうした音の変化を自分の口で再現できるようになると、リスニングのときにこの音が流れてきても、「あ、going to talk to him だ」と瞬時に認識できるようになります。
プロソディー音読を継続することで、英語の音の仕組みが体感として理解できるようになり、その結果、リスニング力が向上するのです。
リズムへの意識
英語は「リズム」をとても重視する言語です。
日本語がほぼ均等な長さで音節を並べていく「音節拍リズム」の言語であるのに対し、英語は「ストレス拍リズム」の言語です。内容語(名詞、動詞、形容詞、副詞など、意味の中心を担う語)には強いストレスが置かれ、機能語(前置詞、冠詞、接続詞など、文法的な役割を担う語)は短く、弱く発音されます。
この強弱のリズムが、英語のリスニングを難しくしている大きな要因の一つです。日本語のリズム感覚のまま英語を聞こうとすると、弱く短く発音される機能語が聞き取れず、文全体の意味が取れなくなってしまいます。
プロソディー音読で英語のリズムを自分の口から再現する練習を繰り返すことで、この強弱のリズムに耳が慣れていきます。
具体的な方法としては、まずスクリプトの音声をよく聞き、どの語にストレスが置かれているか、どの語が弱く短く発音されているかを確認します。その上で、音声のリズムをできる限り忠実に再現するように音読を行います。
ここで一つ、とても大事な注意点があります。
自分独自のリズムで読んではいけません。
お手本の音声を聞かずに、自分の感覚だけで音読をしてしまうと、日本語のリズム感覚で英文を読み上げることになり、発音矯正の効果が得られません。むしろ、間違ったリズムが定着してしまう恐れすらあります。
必ず、お手本の音声を聞いてから音読する。これを徹底してください。
できれば、自分の音読を録音して、お手本の音声と聴き比べてみることをおすすめします。録音した自分の声を聞くのは最初はちょっと恥ずかしいですが、お手本との違いに気づくことができる非常に効果的な方法です。「あ、ここのリズムが全然違う」「この単語のストレスの位置がずれている」といった細かい違いに気づけるようになると、改善のスピードが一気に上がります。
イントネーションへの意識
リズムに加えて、もう一つプロソディー音読で意識すべき重要な要素が「イントネーション」です。
英語のイントネーションには法則があります。英文は基本的に「完全な文(主語+動詞を含むまとまり)」と「修飾箇所(副詞句、前置詞句、従属節など)」で構成されており、それぞれのまとまりの終わりで、イントネーションが大きく下がるという特徴があります。
具体的な例を見てみましょう。
“Because the client requested additional revisions, we decided to extend the project deadline by two weeks.” (クライアントが追加の修正を依頼したため、私たちはプロジェクトの締め切りを2週間延長することにしました。)
この文を、チャンクごとに区切ってイントネーションの変化を確認してみます。
“Because” ── ここで語尾のイントネーションが下がる
“the client requested” ── “requested” の語尾でイントネーションが下がる
“additional revisions” ── “revisions” の語尾でイントネーションが下がる
“we decided to extend” ── “extend” の語尾でイントネーションが下がる
“the project deadline” ── “deadline” の語尾でイントネーションが下がる
“by two weeks” ── “weeks” の語尾で文全体のイントネーションが下がる
このように、「完全な文」と「修飾箇所」の区切りごとに、イントネーションが変化しているのです。
このイントネーションの変化を聞き取れるようになると、リスニングのときに英文の構造が「音」から把握できるようになります。「あ、ここでイントネーションが下がったから、一つのまとまりが終わったな」「ここから新しいまとまりが始まるな」ということが、音の変化から判断できるようになるのです。
これは、リスニング力を高める上でとてつもなく大きなアドバンテージになります。
プロソディー音読でイントネーションを改善する方法は、リズムの場合と同じです。何度もスクリプト音声を聞いて、イントネーションの変化をよく観察し、それをできる限り忠実に自分の口で再現する。お手本の音声を「完全コピー」するつもりで取り組むのが理想です。
ここで補足しておくと、イントネーションの変化が起こる箇所を正しく理解するためには、英文の構造を正しく把握する力が必要です。「ここが主語で、ここが動詞で、ここからが修飾句で…」という文型の理解があって初めて、「なるほど、ここでイントネーションが変わるのはそういう理由か」と納得することができます。
つまり、プロソディー音読をより効果的に行うためには、文構造の理解も不可欠ということです。これは次に解説するコンテンツ音読とも深く関わってくるポイントです。
コンテンツ音読 ── 英語を英語のまま理解する力を鍛える

コンテンツ音読は、英文の意味内容にフォーカスして行う音読です。
プロソディー音読が「音」に意識を向けるのに対し、コンテンツ音読は「意味」に意識を向けます。具体的には、英文の構造を正しく把握し、チャンクごとに前から意味を取りながら、その内容をイメージとして思い浮かべつつ声に出して読むトレーニングです。
このトレーニングの目的は、英語を日本語に訳すことなく、英語の語順のまま、ダイレクトに意味を理解する力を鍛えることにあります。
以前の記事で僕は、シャドーイングにおいて「日本語を介在させずに英文を理解できるようになる」ことが重要だと書きました。コンテンツ音読は、まさにそのための核となるトレーニングです。
文構造の把握
コンテンツ音読を行うにあたって、まず最初にやるべきことは、英文の文構造を正しく把握することです。
先ほどの例文をもう一度使いましょう。
“Because the client requested additional revisions, we decided to extend the project deadline by two weeks.”
この文の構造を分析すると、以下のようになります。
“Because” は従属接続詞で、ここから従属節(理由を表す節)が始まる。
“the client requested additional revisions” が従属節の内容。”the client” が主語(S)、”requested” が動詞(V)、”additional revisions” が目的語(O)。
“we decided to extend the project deadline by two weeks.” が主節。”we” が主語(S)、”decided” が動詞(V)、”to extend the project deadline” が目的語(O)、”by two weeks” は修飾。
このように、SVOC(主語・動詞・目的語・補語)の振り分けを行い、「完全な文」と「修飾箇所」を明確にします。
文構造を正しく把握していれば、英文を前からチャンクごとに処理していくことが可能になります。どこからどこまでが一つのかたまりなのかが判断できるからです。
この振り分けをせずに、なんとなく英文を読んでも、チャンク認識力は効率的に鍛えられません。最初は時間がかかるかもしれませんが、一文一文丁寧に構造を分析してから音読に入ることを強くおすすめします。
繰り返し取り組んでいくうちに、文構造の把握が瞬時にできるようになっていきます。その瞬間、英文を読むスピードが一気に跳ね上がります。
感情やイメージを込めて読む
文構造の把握に加えて、コンテンツ音読でもう一つ意識すべきことがあります。
それは、英文の内容に対して、感情や事実、状況をイメージしながら読むことです。
これは僕自身がとても大切にしているポイントです。
例えば、先ほどの例文。
“Because the client requested additional revisions, we decided to extend the project deadline by two weeks.” (クライアントが追加の修正を依頼したため、私たちはプロジェクトの締め切りを2週間延長することにしました。)
この文を音読するとき、自分がこの文の主人公、つまりこのプロジェクトを担当しているチームの一員になりきってみてください。
「クライアントから追加の修正依頼が来てしまった…。締め切りも迫っていたけれど、品質を妥協するわけにはいかない。チームで話し合って、2週間の延長を決断したんだ。」
そんな現場のリアルな緊張感や、チームとして判断を下した責任感をイメージしながら、感情を込めて声に出して読む。
これは一見すると変わった方法に思えるかもしれません。ですが、感情を伴った情報は、脳にとって記憶に残りやすく、処理も速くなることが知られています。
感情を込めた音読を繰り返すことで、英文を見たときに自動的にイメージが浮かぶようになり、意味の理解がスムーズになっていきます。日本語を介在させずに、英文からダイレクトに意味とイメージが立ち上がってくる。その状態を目指すのです。
以前の記事で、シャドーイングのステップとして「日本語訳を使わず英文を読むだけで内容が理解できるようになる」→「英文の字面から内容をそのまま理解できるようになる。日本語に翻訳せず、英文をそのまま理解できるように」と書きましたが、コンテンツ音読で感情やイメージを込めて読む練習は、まさにこの最終ステップに到達するための訓練です。
コンテンツ音読の実践手順まとめ
ここで、コンテンツ音読の実践手順を整理しておきます。
まず、英文のSVOCの振り分けを行い、文構造を正しく把握します。「完全な文」と「修飾箇所」を明確にし、チャンクの区切りを確認します。
次に、チャンクごとに前から順番に意味を取りながら、声に出して読みます。日本語に訳し戻すのではなく、英語の語順のまま、かたまりごとに意味をイメージとして捉えていきます。
そして、英文の主人公になりきり、感情や状況をイメージしながら、気持ちを込めて音読します。
この一連のプロセスを、同じ英文に対して何度も繰り返します。
何度も繰り返す。ここが最も重要なポイントです。
1回や2回読んだだけでは、チャンク認識力は鍛えられません。同じ英文を何度も何度も音読することで、チャンクごとの処理が体に染み込んでいき、初見の英文に対しても自然とチャンクで区切って読めるようになっていきます。
僕が大学受験の時に『速読英単語』を使ってシャドーイングをしたときも、収録されている100以上の英文を、365日、毎日繰り返し読み続けました。TOEICの勉強でも『速読速聴・英単語 Advanced 1100』を使って、同じことをひたすら繰り返しました。
地味です。華やかさはありません。ですが、この愚直な繰り返しが、圧倒的な英文処理能力の土台を作ってくれるのです。
プロソディー音読とコンテンツ音読の組み合わせ方

ここまで、プロソディー音読とコンテンツ音読をそれぞれ解説してきました。
実際にトレーニングに取り組む際には、この2つをどう組み合わせればいいのかが気になるところだと思います。
僕のおすすめは、一つの英文素材に対して、まずプロソディー音読から始め、その後にコンテンツ音読に移行するという順番です。
最初にお手本の音声をよく聞き、発音、リエゾン、リズム、イントネーションを確認します。その上で、音声面に意識を集中させて何度か音読を行い、英語の「音」を口に馴染ませます。
音声面がある程度安定してきたら、次は意識を「意味」に切り替えます。文構造を把握し、チャンクごとに前から意味を取りながら、感情やイメージを込めて音読を行います。
もちろん、プロソディー音読をしているときに意味を完全に無視する必要はありませんし、コンテンツ音読をしているときに発音を全く気にしなくていいということでもありません。あくまで「どちらにより多くの意識を向けるか」の違いです。
人間の脳の前頭前野が一度に処理できる情報量には限界があるということは、以前の記事でもお伝えしました。「音声」と「意味」の両方に同時に全力で意識を向けるのは、認知的な負荷が高すぎます。だからこそ、意識を向ける対象を分けて、段階的に取り組む方が効率的なのです。
音読に使う素材の選び方
音読のトレーニングに使う素材は、基本的には「自分のレベルに合った、音声付きの英文素材」であれば何でもいいというのが僕の考えです。
教材は何でもいい。これも以前の記事で何度もお伝えしてきたことです。
ただし、一つだけ条件があります。お手本の音声が付いていること。これは絶対条件です。
先ほどプロソディー音読の解説でも触れましたが、お手本の音声なしに自分の感覚だけで音読をしてしまうと、間違った発音やリズムが定着してしまう恐れがあります。必ず、ネイティブスピーカーの音声が付属している素材を使ってください。
TOEICのスコアアップを目指すのであれば、TOEIC公式問題集のスクリプトを音読素材として使うのは非常に効果的です。TOEICの出題傾向に沿った英文で音読トレーニングを積むことで、本番で出てくる英文の構造やリズムに慣れることができます。
もちろん、僕が愛用してきた『速読英単語』シリーズや『速読速聴・英単語』シリーズも、音読素材として素晴らしい選択肢です。英文と音声CDがセットになっていて、音読トレーニングに最適な構成になっています。
大切なのは、素材選びに時間をかけすぎないこと。「どの教材がいいかな」と悩んでいる時間があったら、手元にある素材でさっさと音読を始めてしまいましょう。練習を始めなければ、何も変わりません。
音読の効果を脳科学の観点から考える

ここで少し、音読の効果を脳科学の観点から補足させてください。
以前の記事で、『脳を鍛えるには運動しかない』という書籍を紹介し、運動が脳のニューロンの結びつきを強める効果があることをお伝えしました。
実は、音読にも脳に対して非常に良い効果があることが、脳科学の研究で示唆されています。
音読をしているとき、僕たちの脳は「文字を見る(視覚)」「音を聞く(聴覚)」「口を動かす(運動)」「意味を理解する(認知処理)」という複数の機能を同時に稼働させています。この多面的な脳の活動が、脳内のニューロンのネットワークを強化し、英語処理の回路をより太く、より速くしてくれるのです。
黙読だけ、リスニングだけ、といった単一チャネルのインプットよりも、音読のように複数のチャネルを同時に使うトレーニングの方が、脳への刺激が大きく、学習効果が高いと考えられています。
また、以前の記事で紹介した前頭前野(ワーキングメモリ)の観点からも、音読の効果を説明することができます。英文を前からチャンクごとに処理していくためには、前のチャンクの情報を一時的に保持しながら、次のチャンクを処理するという作業が必要です。これはまさにワーキングメモリの機能であり、音読によってこのワーキングメモリの処理効率が鍛えられることで、英文の処理スピードが向上するのです。
音読トレーニングを習慣にするために
ここまで読んでいただいて、音読の効果と方法については理解していただけたのではないかと思います。
ですが、知識として理解することと、実際に毎日実践し続けることは、全く別の話です。
これも、以前の記事で何度も何度もお伝えしてきたことですが、スキルの習得に必要なのは「毎日、ひたすら繰り返す」こと。音読も例外ではありません。
1日10分でもいい。毎日続けることが、何よりも大切です。
僕自身、音読やシャドーイングは朝起きてからと夜寝る前の日課として完全にルーティン化しています。歯を磨くのと同じレベルで、やらないと気持ち悪いくらいにまで習慣に定着させました。
習慣にするコツは、日常生活の既存のルーティンに組み込んでしまうことです。「朝コーヒーを飲んだら音読する」「夜お風呂から上がったら音読する」というように、既にある習慣に紐づけると、新しい習慣が定着しやすくなります。
マイケル・ジョーダンがオフシーズンにも毎日1000球以上のシュートを打っていたように。高校球児が甲子園に向けて毎日必死に素振りを繰り返すように。英語力の向上を本気で目指すのであれば、音読を毎日の習慣にしましょう。
音読の実践によって、英語力とTOEICスコアを高めよう

ここまで長くなりましたが、最後に今日の記事の内容を振り返ります。
音読とは、英文を声に出して読むトレーニングであり、英文の「音声化」を高速にし、チャンク認識力を鍛え、英語を英語の語順のまま理解する力を向上させてくれるものです。
音読には「プロソディー音読」と「コンテンツ音読」の2種類があります。プロソディー音読は英語の発音、リエゾン、リズム、イントネーションに意識を向けて行い、正しい発音を身につけることでリスニング力を高めます。コンテンツ音読は英文の意味内容にフォーカスし、文構造の把握と感情を込めた音読を通じて、英語を英語の語順で理解する力を鍛えます。
この2つの音読にバランスよく取り組むことで、リーディング力とリスニング力の両方が向上し、TOEICのスコアアップに直結します。
何度もお伝えしますが、大切なのは「正しい方法で、毎日、ひたすら繰り返す」ことです。
教材は何でもいい。才能も関係ない。必要なのは、愚直に練習に取り組むという決意だけです。
僕は高校時代の落ちこぼれから、音読を含む英語のアウトプットをひたすら繰り返すことで、センター試験英語満点、TOEIC970点という結果を出すことができました。何の取り柄もなかった僕にできたのだから、あなたにもきっとできます。
今日からでも遅くありません。まずは手元にある英文素材で、一文でもいいから声に出して読んでみてください。その一歩が、あなたの英語力を変え、TOEICのスコアを変え、そして人生を変える力になるかもしれません。
この記事が、皆さんの英語学習に少しでも役立つことができたら、それほど嬉しいことはありません。
今回は以上になります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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